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2008年12月28日

正社員の理不尽切り

AERA12月15日(月) 13時23分配信 / 国内 - 社会
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20081215-00000001-aera-soci

――買収された相手が悪かった。かつて三大証券の一翼を担った誇り高い社員たちが嘆く。
親会社は米最大手銀行。強引なリストラを嫌い、企業戦士が職場を去る。――

 昼下がりの社内は突如、騒然となった。11月21日、東京・日本橋兜町の日興コーディアル証券本社。3連休を控え、普段の金曜日よりリラックスしていた社員たちは仰天した。
「本日、取締役会にて決議されました希望退職の背景についてご説明致します」
 社員だけが閲覧できるイントラネット経由で、各自のパソコンに、渡辺英二社長のメッセージが現れた。午前中、ひそかに臨時取締役会が開かれていたのだ。社員には寝耳に水である。
「年末の迫る忙しい時期ではありますが、折りしもシティグループとして、人員削減という考えが出されたタイミングであり……決算期末までの実施であれば、退職時一時金の支給にも理解が得られると判断」

■黒字なのにおかしい

 日興コーディアルグループは今年1月、米シティグループの完全子会社になった。たちまち、親会社の経営不安に翻弄されていく。
 2月に日興シティグループ証券の従業員1割削減が明らかになった。10月には投資会社を売却した。米政府が大規模なシティ救済策を発表した11月、日興シティ信託銀行を売却する方針を決めた。
 シティグループは世界中で、全従業員の15%に当たる5万2000人を削減する方針だ。
「シティ本社が12月に迎える決算前に辞めるなら、金を出す。来年以降は保証しない」
 社長直々の退職募集を、40代の男性社員A氏はそう読んだ。応募資格は40歳以上の正社員。申し込み期限は12月8日だった。
 有資格者がイントラネットで給与明細を照会すると、退職一時金の額が示される。A氏の場合、4000万円弱。年俸の約3倍に当たる。
 40代ならばほぼ一律に4000万円弱。だが、50代になると、その半額程度のようだ。
 A氏は希望退職に応じた。「シティ流」に我慢がならなかった。
「そもそも、日興コーディアル証券は黒字会社だ。巨額損失を出しているシティにリストラを命じられるとは、おかしい」
 新卒で旧日興証券に入社した。誘い合ったわけでもないのに、締め切りまでに応募した1100人前後には、生え抜き組が多かった。

■中枢社員も希望退職

 社を去る同僚たちと話すと、例外なく、将来に関する不安を感じている。シティ本体の経営危機。日興コーディアル証券も遠からず売却されるのでは――。経営の中枢に近く、シティとの関係を熟知している財務、法務、内部監査といった部署の社員たちも、少なからず希望退職に手を挙げたという。
「驚いた。彼らは一般社員が知らない情報に接している。内情は相当深刻なのだろう」
 今回の希望退職について、会社側の口は堅い。
「募集の有無も含め、いっさい話せない」
 広報担当者は繰り返した。
 何の上乗せ条件もなく、突然リストラされる派遣社員や期間従業員に比べると、恵まれた条件だと映るかもしれない。だが、日本側の経営状況以上に、米国本社の都合で切られる。正社員にはそんな理不尽さへの怒りが渦巻く。

■今年は残れても……

 社内の狭い会議室に呼ばれたのは午後9時過ぎ。延々30分間、テーブル越しに向き合った上司2人から、予想もしなかった言葉を浴びせられた。
「会社に貢献していない」
「別のキャリアを考えろ」
 10月下旬以降、「面談」は夜だけでなく、出社直後の早朝にも続いた。
「根拠も示されずに退職を迫られ、子どものいじめのような個人攻撃を受けている。20年以上勤めた会社に裏切られた」
 日本IBMの40代男性社員は、堰を切ったように話す。
 同社では正社員約1万6千人を対象に、1千人規模の人員削減が進行中だ。昨年度は940億円の利益を上げたが、今年の第3四半期まで4期連続で前年比減収だった。
 全日本金属情報機器労働組合(JMIU)日本アイビーエム支部には10月下旬以降、退職勧告をめぐる相談が100件近く寄せられ、約50人が組合に加入した。全員、退職を迫られた社員だ。
「上司が自宅にまで来る。割り当てられた人数分のクビ切りが幹部の重要な仕事だから、理不尽に低い評価や降格をちらつかせ、退職を強要する。自殺を心配する家族もいる」(同支部)
 圧力に耐えられなくなり、勧告に応じる人も出ているという。辞めると言っていないのに、就職斡旋会社の面接を上司が勝手に予約したという相談もあった。
 別の40代の男性社員によると、
「いつ自分が呼ばれるかと、ピリピリしている。今年は残れても来年は……危機感に襲われ、士気が落ちている」

■最初から正社員削減

 今回の人員削減の内容を公表していない同社広報はこう話す。
「社員のキャリア選択を拡大するプログラムを12月末まで進めているが、退社は社員自らの選択によるもので、会社として強要はしていない」
 みずほ総合研究所の井上淳シニアエコノミストは指摘する。
「正社員削減の敷居が下がっている。昔なら残業代やボーナスのカット、非正規従業員の削減をし、なおどうにもならない場合、正社員の削減に乗り出した。今では最初から選択肢にある」
 リクルートワークス研究所が今年7月に首都圏で実施した調査によると、民間企業で正社員として働く4435人の回答者のうち、47・5%が雇用に関する不安を感じていた。同研究所の大久保幸夫所長が話す。
「来年、さらに業績が落ち込めば、どの企業もリストラをせざるをえない。今、有効な景気対策に勝る雇用創出策はない」
 ただ、不況がさらに悪化しても、際限なく人減らしできるわけではない。バブル崩壊後に新卒正社員採用を絞った企業では、30代前半を中心に、働き盛りの社員が不足している。
「この教訓から、正社員削減には慎重にならざるを得ない」(日本総合研究所の山田久ビジネス戦略研究センター所長)
 小刻みにリストラしつつ、景気回復を祈るしかなさそうだ。
編集部 田村栄治、福田伸生
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ラベル:正社員 リストラ
posted by あゆた at 11:00| 気になるニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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